トップ > チエの話一覧 > チエの話9
溝口棄却取消訴訟弁護団東京事務局ニュース 2005/06/26

チエの話 (ちえのわ ) (その9)

次回
 2005年7月11日(月) 13:30〜16:45 熊本地裁101法廷
 津田敏秀氏(岡山大学大学院教授・医学証人)、溝口秋生氏(原告)に対する原告主尋問。

次々回
 2005年10月14日(金) 13:15〜16:45
 津田、溝口両氏に対する被告側反対尋問。

目  次
夏、初秋の証人尋問に向けて
6/13熊本地裁進行協議報告
会計報告

○夏、初秋の証人尋問に向けて (平郡真也)

 岡山大学大学院教授・津田敏秀さんと原告・溝口秋生さんの証人採用が決まり(次記事参照)、証拠調べはいよいよ佳境にさしかかってきました。2人の証人の意義にふれる前に、少しこの間の裁判の流れを整理しましょう。
 原告側はこれまで、チエさんの処分に至る手続過程に重大な誤りがある(病院調査の放置、民間カルテ収集の失敗、処分の遅れ)ことに力点をおいて棄却処分の取消しを求めてきました。これに対し被告側は、チエさんは水俣病であったとは認められないとの主張を前面に押し出し、手続上の誤りがあるかどうかは問題にならないと争う構えです。
 一方裁判所の動向に目を向けると、処分取消のためには手続上の違法だけでは足りず、チエさんが水俣病であるとの立証が必要と考えている意向がはっきりしてきました(関西訴訟の判決についても、病像論や認定要件に関心を寄せているようです)。
 こうした経過をふまえ、原告側もチエさんは水俣病である(=病像論)との主張をせざるを得なくなった訳ですが、いかんせんその立証のための資料が決定的に足りません(被告が資料収集を意図的に放置、散逸させたから)。そこで、救済法の趣旨や疫学的な考え方を使って展開することにしました。
 病像論にとって、2人の証言は重要な意義を持ちます。
 まず総論では、救済法の求める認定のあり方(=水俣病の可能性が50%以上であれば認定すべき)と、認定要件(=メチル水銀曝露歴+感覚障害のある者を認定すべき)との間をつなぐのが津田さんの疫学理論(=メチル水銀曝露歴+感覚障害があれば水俣病である可能性は90%以上)です。
 さらに、総論を受けて、チエさんは水俣病と認定すべきとの結論を導くにあたり、つなぎとなるのが溝口さんの証言(チエさんはじめ家族に濃厚な水銀曝露歴があること)と津田さんの証言(チエさんには感覚障害が認められる)です。
 つまり病像論の中で、2人は大切な連結の「環」に位置しており、病像論が認められるか否かは、2人の証言の成否にかかっていると言っても過言ではありません。
 7月11日の主尋問、10月14日の反対尋問(証拠調べは、たぶんこれで終了すると思われます)に、多くの方の傍聴と注目をお願いします。


○6/13熊本地裁進行協議報告 (平郡真也)

 6月13日お昼過ぎ、JR上熊本駅に降り立つと、陽差しの強さにびっくり。「熊本には春が無くて一気に夏が来る」とは聞いていましたが、その言葉どおり、盛夏を思わせる暑さです。
 この日は口頭弁論は開かれず、これからの裁判の進め方を決める進行協議が、503号円卓法廷(ラウンドテーブル)で行われました。協議の眼目は、原告側が証人申請している津田敏秀さん、宮澤信雄さん、原告・溝口秋生さんを裁判所が採用するか、否かです。
 冒頭山口弁護士が、関西訴訟最高裁判決後、認定申請者が2,000人を越える一方、審査会開催のメドが立たないなど、認定制度が根幹から揺らいでいる現状をふまえ、あるべき制度の方向を示すために3人の証言が必要である旨述べ、申請理由を補充しました。これを受け横山裁判長は「津田さん、溝口さんを採用しましょう」と明言。宮澤さんは却下ではなく保留扱いとなりました。
 次に尋問の日程について、2人に対する主尋問(原告側からの尋問)を7月11日午後1:30から、被告側からの反対尋問を10月14日午後1:15からと決定、協議を終えました。
 その後、東弁護士の事務所に移動し、水俣・熊本・東京の主なメンバーが集まって拡大弁護団・事務局会議を開きました。会議の目的は、証人尋問−結審に向けての日程がほぼ決まり、これまでの主張を検証した上でどのようにまとめていくか、共通の理解を持とうというものです。
 東京事務局から、訴訟の意義・争点、双方の主張の整理につづき、病像論の骨子や最終準備書面の課題と説明。「理論構成上、詰めるべき点は多いが、みんなで知恵を絞っていこう」と確認しました。また証人尋問に向けて分担(東弁護士が溝口さん、山口弁護士が津田さん)や打合せの日程などを決め、具体的な準備に入ることにしました。


○会計報告 2004/07/30〜2005/06/23

(1)収入

繰り越し269,318円
カンパ(郵便手数料を差引く)246,828円
収入合計516,146円

(2)支出

弁護士交交通費(52,000×2回)104,000円
東弁護士着手金50,000円
通信費(チエの話4〜8、情宣葉書)132,693円
活動費(資料費、現地聞取調査費)128,250円
水俣フォーラム用ビラ作成費3,030円
支出合計417,973円

(3)残金 516,146−417,973=98,173円

毎回貴重なカンパをありがとうございます。(担当 鈴村)

トップ > チエの話一覧 > チエの話9