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溝口棄却取消訴訟弁護団東京事務局ニュース 2006/07/18

チエの話 (ちえのわ ) (その15)

次回(進行協議)
2006年10月12日(木) 15:00〜 熊本地裁

*10月12日は14:30 熊本地裁前集合*
  当日は進行協議のため法廷の傍聴はできませんが、門前集会を行います。原告団を見送った後には京町会館にて集会、進行協議の報告等も予定しています。是非ご参加下さい。


目  次
法廷の進行状況
会計報告

○法廷の進行状況 (鎌田 学)

*6.13進行協議
 6月13日、熊本地裁504ラウンド法廷で原告−裁判官−被告3者は進行協議を行いました。
 原告側は溝口秋生氏と熊本・東、東京・山口両弁護士が着席。被告側は佐竹氏ほか法務省訟務検事と熊本県環境生活部長が並び、その後部席には県水俣病対策課職員ら。
 原告側は提出書証の確認等に備え、熊本事務局・高倉史朗氏と東京事務局・鎌田が入室しました。また、午前11時から約1時間にわたった協議の終了後、廊下には環境省特殊疾病対策室の女性職員が姿を見せました。国と県=水俣病の共同正犯=でいったいどのような別協議を行ったものでしょうか。

 さて、原告は義務付け訴訟を2005年10月に併合提起。以降この間、裁判所、被告から繰り返し求められてきたのは「主張・争点の整理・明確化を」ということでした。端的には「認定のあるべきあり方・救済の範囲」等について、原告が主張する(1)総論においての「有機水銀の影響を否定し得ない場合」「救済法が要請する水俣病の範囲に含まれる」との、その場合の基準、準拠とは?具体的要件は?。(2)個別論「チエさんは水俣病である」との医学的根拠は?具体的に、いかなる所見があるゆえ、いかなる基準・準拠に合致すると主張するのか?と。
 水俣病「公式確認」から50年、川本さんら行政不服裁決から35年のいまなお、このようなやり取りを行わねばならないのが現実です。
 この主要2点を受け、原告側は5月1日に第35準備書面を、またその骨子・要約版として第36準備書面を提出し臨んだ協議でした。

*今後の日程、方針
 協議の詳細は紙面の制約上省略し、今後の日程また立証方針は以下の通りです。
<日程>
 原告は7月中にさらに準備書面を提出し、被告は9月中に反論の書面を提出する。
 そのうえで次回進行協議を10月12日(木)午後3時から行う。
<立証方針>
 原告は第35、36準備書面で、上記総論、個別論については「52年判断条件」の違法性を主張の要点としつつ展開してきたところである。
 が、被告は協議時「原告主張は抽象論。具体的主張・立証を」とまた繰り返してきた。今回は特に「津田『意見書』、『証言』と二宮『意見書』の位置付を明確に示してほしい」と。これはつまり「被告としては、この準備書面では原告がいかなる判決を求めているのか、その判決内容が行政に対しどのような拘束力をもつというのかが不明である。どういう医学的知見に基づきどうなのかの具体を言ってもらわないと」(佐竹氏)と医学論の詳論を求めたもの。
 被告(また裁判所も)が繰り返し原告に具体的明示を求めるこの点について、以下の方針を考えているところです。
 まず、棄却取消訴訟の主要争点は長期・異常な処分放置に係る手続論、その違法性。この点についての立証はほぼ了えた、と考えている。
 そして、本件義務付け訴訟の第一の論点は、チエさん=水俣病、との個別実体論。
 この義務付け訴訟で、原告は、52年判断条件の違法性を、合わせ「溝口チエ=水俣病は明らか。司法が行政に対し『認定すべき』との義務づけを」と主張している。
 今後提出する準備書面では「チエさん=水俣病は一義的に明らか」との立証を、より精緻に示す。示さねばならない。
 その書面の核心は二宮『意見書』。「溝口チエは、チッソ水俣病関西訴訟大阪高裁判決−最高裁判決が示した判断準拠に合致する」「診断学の常識的知見からメチル水銀中毒症、との判断こそ合理的」との詳論を提出する。
 チエさんをメチル水銀中毒症の定義中に明確に位置づける−この点を東京弁護団事務局の共通認識として、週に1度のペースで山口先生事務所に集い、『意見書』学習会を重ねつつ書面案を練っているというのが東京の現在進行形の報告です。

*熊本滞在時にはお世話になりました
 ところで、報告者は『第35準備書面』また『意見書』の作成協力と検討をするにあたり、東弁護士からの誘いもあり、また山口先生や<関東告発一家>をはじめとする支援仲間からの物心両面に亘る支援を得ながら、2月13日法廷傍聴以降6月半ばまでの間、熊本市水前寺公園を住所とする恵まれた環境に棲息していました。弁護士事務所、熊大・二宮先生ら研究室、と時に居酒屋、県立図書館、水俣、御所浦、県庁・・・と歩き回りました。この過程で既知、旧知の方々や新たに知り合えた方々に出会えたこと、また各種文献・資料の入手、再読、再検討を行えたこと、最高裁判決後の状況の一端でも知り得たこと等々、実に貴重な機会を得たものと思っています。
 そのかんお世話いただいた皆様に、この紙面を借りてあつく御礼申し上げる次第です。


○会計報告 2005/06/24〜2006/07/16 (鈴村 多賀志)

*収入
 前期より繰越        98,173円
 カンパ(振込手数料差引)   293,500円
 郵便利子            5円
 収入合計         391,678円

*支出
 弁護士交通費       100,000円
 通信費(チエの話9〜14)  128,981円
 活動費(資料コピー等)    29,402円
 情宣用チラシ        10,000円
 支出合計         268,383円

*残高
 391,678−268,383=123,295円

 毎回貴重なカンパをありがとうございます。

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