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チエの話16
溝口棄却取消訴訟弁護団東京事務局ニュース 2006/11/02
次回口頭弁論 2006年12月22日(金) 11:00〜 熊本地裁 |
目 次
進行協議報告
チエの話の連絡先変更
*原告の主張(主に医学論)を整理
10月12日、前回6月の協議から4ヶ月を経て再び進行協議が開かれた。5月の法廷で裁判長が交代して以来2回続きの協議である。亀川裁判長が5月に尋ねていたのは、われわれ原告側は、(52年判断条件が違法と言うならば)「チエさんが水俣病だということを、何を基準にして判断せよと求めるのか」ということだったと思う。二宮医師、宮澤氏、河野氏を証人として求めることに対しても、「立証計画はどのような認定基準をよしとして立てているのか」と質問していた。
原告側が5月に提出した第35準備書面は、まさにその問いに対する回答だったのだが、交代したばかりの裁判長に即座の理解を求めるのは無理な話だったかもしれない。6月の協議ではわれわれのこれまでの主張をたどり、「行政は異常に長期間チエさんを放置した。このことにより棄却の権限を失っている。きちんと症状を見るなら救済法の趣旨にも、大阪高裁(したがって最高裁)基準にもあてはまる患者であった。義務付け訴訟の追加は、こういう人を水俣病として認定する判決を求めるということだ。」と説明した。
しかし、被告はさらに、二宮医師の中枢説に基づく意見書と、津田教授の「疫学理論に基づく感覚障害のみでの水俣病判断」がどのような関係にあるのかを説明することを求めてきた。そのため、これを説明する書面をわれわれが出し、それに被告が反論する書面を提出して、「もう一度進行協議を開き今後の方針を考える」ということで終わったのだった。
*同じ主張をを繰り返すのみの被告
約束どおりこちらは8月11日付で、第38準備書面として二宮氏と津田氏の論理の関係を説明した。これに対して被告は9月29日に第11準備書面を提出、しかしその内容には新味がなく、「救済法で水俣病と認められるか否かは医学的判断による。しかしチエに四肢の感覚鈍麻があるとするS診断書(認定申請時に添付したもの)は不充分で、結局水俣病であることを示す症候は1つも認められない」と述べただけだった。
裁判所前で話す溝口秋生さん
なんのための4ヶ月間かとも思うのだが、今回の進行協議の中で被告は第11準備書面を説明して、「この訴訟では診断基準(病像)以前の、個々の症状があるかどうかが争点だ」とした。つまり、「判断条件がどうのこうのと原告は言うが、結局症状は何も確認されていないではないか」、というのである。さらに、「医療機関調査など、被告にとって不利な内容も提出してきた、これは生の事実を示して判断を求めているのだ」、と居直ってみせる。「(病院調査を実施するはずだった)河野慶三氏は当時の超多忙な状況の中で実際何も記憶していない。事実を隠しているのではなく証人に呼んでも意味はない。あとは裁判所の判断にまかせると覚悟して第11準備書面を提出している。しかし、二宮証人が採用されるなら反論するし、望むところではないが長期化する可能性も出てくる」、と脅しも忘れない。
*迷う裁判長
亀川裁判長は二宮証人については考慮中と言う印象が強かった。医学的判断をどうするか、迷っているのだろうか。同じ裁判長が不知火患者会の国賠訴訟を抱えており、違う基準で両方の裁判を扱うことに無理を感じているのかもしれない。それは当然だ、損害賠償請求と行政訴訟と違いはあるにしても、露骨に二重基準を使うわけにはいかないだろう。ただ、一部に報道されたように、亀川裁判長が不知火訴訟を「大阪高裁(最高裁)基準に従って判断する」と発言したということははっきりと否定した。「そのような判決があったことは了知している」と言っただけだそうだ。
ともあれ、われわれも訴訟の長期化を望まないという内容の上申書を提出しており、裁判長は次回12月22日の弁論で、証人の採否、今後の予定を決めるとして協議を終えた。結審の方向へ大きく動いたのではないだろうか。
この度、山口紀洋弁護士がアメリカ留学されたため千勝法律事務所は閉所されました。当分溝口訴訟の東京事務所の会議室としては残りますが、チエの話の連絡先は下記の場所に変更となります。また裁判の代理人は東俊裕弁護士に引き継がれています。
山口弁護士にはアメリカで更にパワーアップされて帰国されることを期待しています。
山口紀洋弁護士
<新連絡先>
〒337-0033 さいたま市見沼区御蔵1247-8
鈴村方 FAXのみ 048-683-7098
*東俊裕弁護士事務所 〒860-0078 熊本市京町 1-12-2 京町会館1F