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環境省要求書 2013年11月8日

2013年11月8日

環境大臣 石原 伸晃 殿
環境省 総合環境政策局 環境保健部
企画課 特殊疾病対策室 御中

水俣病溝口訴訟原告     溝口秋生
上記訴訟弁護団 代表 弁護士 山口紀洋
(窓口・連絡先)水俣病溝口訴訟弁護団東京事務局
鈴村多賀志

要 求 書

 11月8日現在をもって最高裁判決から既に半年が過ぎていますが、現地の水俣病認定作業は停止したまま、申請者の方々は状況についての説明も一切受けられず、大きな不安の中に放置され続けています。
 しかし、環境省は「52年判断条件は否定されていない。見直す必要はない」という不当な態度にただ固執するだけで、何の施策も出せずにいます。
 環境省には、半世紀にわたって不知火海、阿賀野川沿岸の住民を苦しめてきた水俣病事件を解決し、今日の事態を前に進める意志・能力があるのか、疑わざるを得ない状況となっています。  私たちは、改めて下記の問題点を挙げ、弁護団・患者・市民との交渉の場を持つよう、要求します。

1.再度、7月5日付要求書への回答を要求します。

 なお、環境省は8月27日付回答書で「環境行政へ寄せられる御意見、御要望は多数にわたり、そのお一つお一つについて、必ずしもすべて、個別にお答えすることは難しい状況」との回答をしています。
 つまり「忙しいから対応しない」という失礼な理由ですが、このような回答をすることを、具体的にどのような人々によって検討され、誰がその判断をしたのか明らかにすることも、合わせて要求します。

2.10月25日に、公害健康被害補償不服審査会(以下、不服審査会)は、下田良雄さんに対する認定棄却を取り消す裁決をしました。

 この裁決において不服審査会は、4月16日に最高裁が提示した判断方法を行政不服審査請求においても適用することを明言し、かつ県知事に対して、公健法上の認定審査においても同様の審査をすることを命じています。
 さらに裁決書では、熊本県の認定審査の実態について、52年判断条件の症候の組合に合致しないことをもって棄却にしていたことを指摘し、そのような審理は最高裁判決の趣旨に反することが明記されています。
 また、下田さんの審査会資料の作成過程についても、極めて不透明かつ杜撰なものだったことが糾弾されています。
 過去の認定審査の実態が、52年判断条件の症候の組合せに固執し、本来認定されるべき申請者が棄却処分となっていた可能性については、既に溝口訴訟福岡高裁判決、Fさん訴訟大阪高裁判決でも指摘されていました。
 度重なる認定審査に対する批判は、他にも同様に本来は認定されるべき棄却者がいることを容易に推測させるものであって、過去の認定審査会の運用についても問題がなかったなどとは到底言えるものではありません。
 よって、過去の認定棄却者、未検診死亡者に対する再審査、再調査を関係各県に指示することを要求します。

3.最高裁判決は、司法認定であろうと行政認定であろうと、水俣病患者は同じであることを明言しています。

 第1次訴訟以降に裁判を提訴された人々は、公健法・救済法の趣旨に反する環境省の不当な認定要件、県の不適切な認定業務運用のために、裁判に訴えざるを得なかった人々です。同じ水俣病患者でありながら、行政の失政により長年にわたって苦しめられ、闘わざるを得なかったのです。
 にもかかわらず、法の適用について一方的に不利益が課せられるのは、不公平であり統一性に欠き、あまりにも理不尽です。
 チッソ水俣病関西訴訟、水俣病2次訴訟の勝訴原告で公健法の適用を求めている方々について、公健法の適用を認めるよう要求します。

4.窓口担当者の明確化を要求します。

 この間の互いの連絡先窓口について、環境省側窓口担当者(井口氏)と弁護団側(鈴村)とすることを確認しています。
 しかし小林室長自ら、この取り決めを無視し、弁護団に隠れて原告を訪ねたり、担当外の者に電話で連絡をしてくるなど、言わば裏口からの接触を謀ろうとする行動に出ています。この小林室長の行動は、現場を混乱させ、環境省に対する不信感を増大させるものです。
 小林室長はこのような行動を止め謝罪した上で、今後は環境省側は誰が窓口となるのか、明確にしていただきたい。
 当方は、鈴村が窓口担当者であることに変わっていません。環境省側の窓口担当者が小林室長に変わるというのならば、その旨、鈴村まで連絡してください。

以上

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