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環境省 申入書 2015年7月10日

2015年7月10日

環境省 総合環境政策局 環境保健部
企画課 特殊疾病対策室 御中

水俣病新通知差止め訴訟 原告 佐藤英樹
上記訴訟弁護団 代表 弁護士 山口紀洋
東京都中央区日本橋 2−16−3−61
吉勝法律事務所
事務局連絡先 鈴村多賀志

申 入 書

1. 去る6月25日に水俣病新通知差止め訴訟控訴審の判決がありました。
 判決は、当該新通知の内容には踏み込まず、新通知の科学的・医学的妥当性については、何ら明らかにされませんでした。そもそも、環境省はこの訴訟で、新通知の科学的・医学的妥当性については、何ら主張・立証をしていません。
 よって、私どもは、先の5月28日付けの申入書への誠実な回答を要求するとともに、更に下記の要求を加えます。

2. 溝口訴訟最高裁判決日(2013年4月16日)から新通知発出(2014年3月7日)の間に、当時担当であった飯野暁(元)環境保健部企画課長補佐や小林秀幸(元)環境保健部企画課特殊疾病対策室長らは、鹿児島県庁へも数回出張しています。また、小林氏が新潟県にも出張していたことが明らかになっています。
 にもかかわらず、鹿児島県や新潟県、新潟市に対して水俣病認定審査会の実務業績の資料を求めなかった理由を説明するよう要求します。

3. 私どもは先に、新通知の科学的・医学的妥当性を明らかにするよう、環境省に対して、新通知策定のさいに参照した資料の開示を求めました。
 開示された資料を見ると、新通知の医学的根拠と目されるのは、かろうじて20年以上前の中公審答申(1991年11月26日 開示資料13)しかありません。
 また、開示された26資料のうち、2013年4月の最高裁判決以降のものでは、環境省自身の見解以外には52年判断条件の維持を支持しているものは、何一つありません。
 さらに、資料6の国の不服審査会裁決(下田さん裁決書)では、上記の最高裁判決を踏まえて、従来の審査基準(52年判断条件に基づく審査)を変更することを明言しています。
 ところがこれらの点について、特殊疾病対策室職員は「開示した資料は全てではない」(熊本日新聞2015/06/24日)などと発言しています。
 この報道に驚いた私どもが、再確認の文書開示請求を行ったところ、文書開示の担当者から以下のような連絡を受けました。

 医学知見は新通知作成に携わった職員が、その業務を通じて得たもので、議論の土台の知識としてあるので、それを議論用にレジュメ等の資料としては作成していない。

 つまり、頭の中にあるので議論用の資料など作らなかった、という説明でした。
 これでは、就任から僅か1年余りだった小林氏や飯野氏に、どんな科学的・医学的知見が得られたのか、何の信憑性もありません。
 策定過程において参照したという弁護士会や医学会の批判・指摘に、当該職員が反論できる具体的な科学的・医学的知見を得ていたというのならば、その知見リストを示すよう要求します。

4. もし、小林氏や飯野氏の他に、長年にわたって水俣病に関する医学的知見を蓄積してきた職員が、新通知策定の場にいたというのならば、その職員の氏名、役職を明らかにして、交渉の場に出席させるよう要求します。

5. いずれにしても、新通知策定にあたって参照した具体的な資料は、開示された26資料のみであった事実を確認することを要求します。

6. また、前述の熊本日日新聞の取材を受けて、「開示した資料は全てではない」と発言した貴省職員の役職・氏名を明らかにすることを要求します。

7. 26資料の開示にあたって、貴省は「(法で定められた期限内に)開示決定をすることが事務処理上困難」として、30日の期限延長をしました。
 決裁書に添付した26資料を開示するだけで、他には不存在だから開示しないというのならば、なんら事務処理上困難なことはありません。
 期限を延期せざるを得なかった「事務処理上困難」だった具体的理由を説明するよう要求します。

8. 7月末頃までに、先の申入書(5月28日付)も含めて、納得できる説明が得られる公開された交渉の場を持つことを要求します。

以上

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