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水俣病認定基準の新通知差止め行政訴訟に対する
最高裁棄却・不受理決定に対する抗議声明

 2015年12月20日 新通知差止訴訟弁護団

 最高裁第3小法廷(裁判長 大谷剛彦判事)は、標記事件に対して、本年12月1日に、上告を棄却し、上告受理申立も受理しないという決定をなしました。
 しかし、環境省総合環境政策局環境保健部長が昨年3月7日に発出した、いわゆる新通知は、部長に作成・発出の法的権限がなく、医学的根拠も全くなく、しかも水俣病52年判断条件を否定した2013年4月16日の水俣病溝口・Fさん最高裁判決の判示に真つ向から反対し・違反していることは明らかです。
 弁護団は、これまで何回も行政文書開示請求によつて、新通知は同部の部長が職員を使つて恣意的に作成したものであり、その作成過程を示す議事録もなく、作成に当たつて疫学データを一切使わず、公平な立場の水俣病専門医師や法的専門家が関与していなかったことを明らかにし、新通知の違法性を確認しました。
 しかし1審被告国・熊本県は、1審、2審、最高裁を通じて、この新通知作成の恣意的な実態と違法性に関して何ら釈明せず、単に、新通知は行政機関の間の通知であって、行政訴訟法の要件である当該行政行為の処分性がない、という点だけを反論しました。
 最高裁も単に行政訴訟の要件の具備の有無だけで、本決定をなしました。
 しかし、水俣病事件は来年で60年を迎えますが、未だに国・熊本県は食品衛生法上の食中毒事件調査を拒否し、不知火海沿岸住民34万人の健康被害に対する救済がなされていないので、現在も多数の水俣病患者が認定申請をし、訴訟を行つています。
 その元凶は、国と熊本県が患者切り捨てのツールとして40年間近くも悪用している52年判断条件であり、新通知はこの基準をさらに狭隘化し、固定化するものです。
 事実、熊本県は最近、この新通知を使用し始め、患者切り捨てに狂奔しています。
 そこで私達は、国と熊本県の水俣病事件行政が憲法に反し、違法であることを明らかにし、水俣病事件の完全解決・完全患者救済をあくまで目指して、水俣病棄却取消訴訟、水俣病国賠請求訴訟、食品衛生法法定調査義務付け訴訟等の個々の訴訟を闘うと共に、政治活動、社会活動を続けて行く決意です。
 今後の一層のご支援をお願い致します。
 以上

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