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水俣病食中毒調査義務付け訴訟の経過一覧表
2014年 05月16日 | 東京地裁に提訴 訴状 |
国と熊本県に対して食品衛生法に基づく水俣病の食中毒調査の実施と報告を義務付ける判決を求める。 |
2014年 08月01日 | 第1回口頭弁論 原告代理人の意見陳述 |
・この裁判で問われるものは、食中毒調査の「処分性」や「違法確認の利益性」と言った法的技術論ではない。国や熊本県が、原告を含む被害者一人一人に対して必要な行動をとらず、放置してきたことを問うているのである。 |
被告側答弁書 |
・食品衛生法に基づく調査は、食中毒患者の認定を目的にしたものではなく行政訴訟を提訴できる「処分」ではない。 ・原告には不作為違法確認の訴えを起こす利益がない。 |
2014年 10月24日 |
第2回口頭弁論 原告意見陳述 |
・国と熊本県は、水俣湾周辺がメチル水銀で汚染されているのを知っていながら、58年間も調査を放置してきている。このような行政の姿勢を改めない限り、水俣病事件の解決はない。 |
原告第1準備書面 |
・水俣病患者だけではなく、日本全国民が住民調査の必要性を訴えている。 国と熊本県は、住民調査を拒否する正当な理由を全く述べていない。 |
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被告第1準備書面 | ・食品衛生法の食中毒調査は「公益の保護」が目的であって、被害者の個別個人について症状の発生状況や病像を明らかにするものではない。 | |
2015年 01月16日 |
第3回口頭弁論 原告第2準備書面 |
・食中毒調査の「処分性」の解釈は、憲法の第13条(幸福追求権)や第25条(生存権)に基づいて、解釈されるべきである。 |
2015年 03月13日 |
第4回口頭弁論 原告第3準備書面 |
・被告の主張は、例えば、市民が火事を消防署に通報しても、消防署が通報は受けたが国民に対しては出動の義務性はないと主張するのと同じである。 |
2015年 05月27日 |
第5回口頭弁論 原告第4準備書面 原告第5準備書面 |
・被告国、熊本県は、60年間も法定調査を為さないという違法を続けている。原告はこれに対して、国民として適正手続の要求をしている。 ・被告が食衛法の目的として強調する「公衆衛生」と、患者個人の健康と生命の保護は、二律背反の関係ではない。 ・行政行為の「処分性」の考え方は、施策全体の中で、その行為が果たす役割を考慮して判断すべき。 |
2015年 07月10日 |
第6回口頭弁論 原告第6準備書面 |
・食衛法に基づく住民調査が行われないため、原告は未だに水俣病か否かの判断がされず、適切な補償や医療行為を受けることができないでいる。 |
2015年 09月08日 |
第7回口頭弁論 原告第7準備書面 原告第8準備書面 |
・食衛法に基づく調査が行われないため、適切な水俣病の病像や診断基準が作れず、不必要・不適切な認定制度ができた。 ・新潟水俣病事件では、患者の確認直後に新潟大学を中心とした疫学調査が行われ、患者の存在と原因企業(昭和電工)が確定した。 |
2015年 11月04日 |
第8回口頭弁論 結審 原告最終意見陳述 原告第9準備書面 |
・もし、裁判所が、この訴訟を、訴訟の要件だけで判断したり、国家賠償金の支払いだけで済ませるようなことをすれば、あと100年たっても食衛法の調査は行われず、水俣病患者は一生救われない。 ・食衛法調査は、憲法に基づく国民の生命健康を、国が保障するために同法1条の趣旨のもと規定されたものであり、個々国民の権利、法的利益に直接関係するものである。 |
被告第4備書面 |
・食衛法調査は、公衆衛生の見地から、専ら、公益を保護することを目的としているのであり、個々の食中毒患者の権利又は法的利益に直接影響を与えるものではない。 ・食衛法調査・報告は、個別の国民の権利又は法的権利を保護の対象としておらず、原告が主張する調査を行わないことによる損害との因果関係は認められない。 |
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2016年 01月27日 |
東京地裁判決(pdf) |
・原告の訴えを全て認めず敗訴。 ・食衛法に規定する調査は、漁獲禁止などを行うための前段であり、調査によって食中毒患者を保護したり、病像の解明を目的とするものではない。 |
2016年 01月29日 |
東京高裁に控訴 | ・原判決の取消を要求 |
2016年 04月26日 |
第1回口頭弁論 | ・原判決は、食衛法に基づく調査・報告は行政機関内の行為であり、国民の権利義務を形成するものではない、とする。しかし行政機関内の行為と、国民の権利形成等の行政行為は、二律背反ではない。(調査・報告をしなくてもよいとは言っていない) |
2016年 05月31日 |
第2回口頭弁論 | ・憲法25条2項の要請をうけて作られた食衛法に基づく調査を行わないのは、単に憲法25条2項にとどまらず、第11条基本的人権、第13条幸福追求権、第25条生存権への直接の侵害である。 |
2016年 07月21日 |
東京高裁判決(pdf) | ・一審と同様に控訴人(患者)の訴えを全て認めず敗訴。 ・個々の患者や国民が行政に対して、食品衛生法上のいかなる規定によって、具体的にどのような措置を要求できるかについて明らかでない。 |
2015年 09月07日 |
東京地裁に提訴 | 国と熊本県および鹿児島県に対して食品衛生法に基づく水俣病の食中毒調査の実施と報告を義務付ける判決を求める。 |
2015年 12月16日 |
第1回口頭弁論 訴状 |
・被告らは、食衛法に基づく適切な調査をしていないため、水俣病に関する適正なデータを集めることができず、正しい水俣病像が作れず、あるべき補償制度を作ることができない。 ・そして、不適正・不当な認定制度(本人申請主義、違法な52年判断条件)によって、患者の放置・切り捨て施策を続けている。 直接関係するものである。 |
被告答弁書 |
・食衛法に基づく調査は、行政庁が食中毒事件の発生を確認し、対策を講じるためのものであり、この調査によって国民との間で何らの権利義務を形成したり、その範囲を確定するものではない。よって行政訴訟が提起できる「処分」には当たらない。 ・食衛法に基づく報告は、行政機関相互の内部行為であり、直接国民の権利義務を形成し、またその範囲を確定する効果を生むものではない。よって、これにも「処分性」は認められない。 |
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2016年 03月09日 |
第2回口頭弁論 原告第1準備書面 原告第2準備書面 |
・たとえ行政相互の行為であっても、その目的と手続きが直接国民に関するものである場合や、手続きが必然的に連動して直接国民に関するものとなる場合には、行政処分とみなすべきである。 ・保健所長は当時、どんな報告を受けて、法定調査の必要性なしと判断したのか、他の求釈明。 |
2016年 05月25日 |
第3回口頭弁論 |
・上記表の佐藤訴訟と同様の主張、経過なので省略します。 他の訴訟に関することも含めて詳細を知りたい方は、弁護団事務局までご連絡ください。 トップページに連絡先を掲載しています。 また、チエの話バックナンバーでも経緯を報告しています。 |
2016年 07月27日 |
第4回口頭弁論 | |
2016年 09月21日 |
第5回口頭弁論 | |
2016年 12月07日 |
東京地裁判決(pdf) | ・食衛法に基づく住民調査は、食中毒の原因となった食品等及び原因物質を追及し、当該食品等の微生物学的又は理化学的等の観点からの特性等を把握するために行われるものであって、それ自体が直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定する性質を有するものでない。 ・(食中毒患者)の届出をした医者個人(原告)の何らかの個別的利益を保護すべきものする趣旨を含むものと解するのは困難である。 |
2016年 12月13日 |
東京高裁に控訴 |
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2017年 02月27日 |
第1回口頭弁論 | |
2017年 05月24日 |
第2回口頭弁論 | |
2017年 07月12日 |
東京高裁判決(pdf) | ・食衛法に基づく調査・報告は「直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定する性質を有するものにはあたらず」「行政処分」には当たらない。 よって個々の国民が、調査の義務付けを提訴することはできない、と判示して訴えを却下(門前払い)。 |
2017年 07月14日 |
最高裁に上告 |
・東京高裁判決は憲法11条(基本的人権)、25条(生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務)に違反している。 ・水俣病事件を司法として解決せず、放置してきた裁判官自身にも加害者として責任がある。 |
2017年 12月21日 |
上告棄却(pdf) | ・東京高裁判決には憲法の解釈の誤りや憲法違反はなく、上告することはできない。 |
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